2000年1月-3-
    21 January 2000
私が通っているランゲージセンターにはpersonal tutor(パーソナル・チューター、学生数人に1人の割合で決められたエッセイのテーマや進路、個人的なことまで相談できる先生)の制度があるのですが、今期は全員前期と先生が入れ替わります。 私は前期はリズだったのですが、今回からアンジェラになりました。彼女はリスニングクラスで受け持ってもらっていましたから、初めて接するわけではありません。その彼女とのtutorial(チュートリアル、個人面談)の際に指示されたとおり、Career Service(キャリア・サービス、進路就職相談室)の担当者に会いに行きました。 いよいよ大学選びが本格的に始まったという感じです。自分が何故大学院に行きたいか、どんな大学院を目指しているかを話すと、彼はにこやかに微笑んで、いろいろ聞いてみるからまた連絡するという返事でした。 しかし、学生はランゲージセンターだけでも80人ほどいるわけで、果たして期待していいのかどうか。自分でも情報は集めないとまずいでしょうね。少なくともこの国では日本のように「手取り足取り」で「かゆいところに手が届く」サービスは期待しない方が身のためですから。 この進路相談については、また、経過報告します。

    23 January 2000
Football(イギリスではサッカーとは言わずフットボールといいます)に限らずスポーツ観戦の好きな夫がいつもSKY SPORT(スカイ・スポーツ、衛星テレビのスポーツチャンネル)を見ているので、いつの間にかスポーツ番組を聞く力がついていたようです。  授業でスポーツの中継を聞いてなんのスポーツか当てるというリスニングのテストがあったとき、いつも聞き取りは苦手な私が誰よりもよく聞き分けることが出来たのですから。

    25 January 2000
私が今なお所属している「日本新劇経営製作者者協会」の英国及びアイルランド演劇視察ツアー一行が本日無事到着しました。 授業の関係で、27日のロンドンと2月3日のストラットフォード分しか参加できないのが残念です。
 夕方に皆の宿泊しているホテルにご挨拶に行って来ました。何と表現しましょう。自分が演劇の制作者だったことを思い出したというのでしょうか。忘れかけていた懐かしい雰囲気に溶けてしまいそうでした。 毎日おぼつかない自分の英語力に苛立ち、若い学生の中に混じって生活をしていると、長年の自分の経験まで頼りないものに思えてくるものです。ここでは英語を話せない私は子供みたいなものですから。
 それが、今日はなじみの会話、なによりも私はここでは劇団一跡二跳の制作、藤川啓子なのです。嬉しくて嬉しくてたまらない、そんな夕食会でした。イギリスに来て出会う人々は皆私をパスポートにある本名(竹内)で呼びます。 それはそれでよいのですが、今日しみじみと「藤川啓子」は私の大切な名前なんだと痛感しました。皆から藤川で呼ばれると、心がきりりと制作者に戻っていく気分です。これは新鮮な発見です。  古城さんや岸本君の話題で盛り上がるのも久しぶり。お二人さん、くしゃみしていませんでしたか?

    27 January 2000
「日本新劇経営製作者者協会」のツアーに本日同行しました。とても有意義な体験でした。私は午前中は学校に出て、午後4時15分から合流。Royal National TheatreでMr Roger Chapman(Head of Touring)のお話を1時間伺った後あと、Backstage Tour 1時間、その後、オリヴィエ劇場The Olivier Theatreで「ベニスの商人」を観ました。
今回のツワーは劇団昴の演出家の柴田恵理子さんがコーディネーター兼通訳として同行なさっているのですが、彼女の英語は本当に素晴らしい。未だ英語を勉強中の身としては感動モノでした。  何よりも的確な演劇用語での通訳。これは実際の現場で働いた経験からしか得られないものだと思います。 英語はおろか演劇さえも初心者だと思い知らされました。
 一行は全部で10名。柴田さん以外は制作者です。ところで、Royal National Theatreは2001年春に日本に「ハムレット」を持っていく予定だそうです。請うご期待。
イギリスに一年もいて、全然お芝居を観ていない自分が情けない。言葉の壁を言い訳に劇場に足を運ばなかったことを反省しました。でも、悲しい話、英語が分からないでお芝居を観るのは私には苦痛だったのです。今日は少しわかりました。ほんの少しです。 シェイクスピアはイギリス人でも難しいそうですから。一幕目は何が起こってるのかさっぱり分からなくて死にそうでしたが、二幕目になってからはわからないなりに話に引き込まれて、とても面白いと思いました。一年頑張って英語を勉強しているのにも拘わらず、 舞台の英語はよく分からないという状態ですが、舞台を観ることに苦痛がなくなってきています。 舞台っていいなぁと思えるようになってきました。千里の道も一歩から。でも、半分の道のりにも達さないうちに日本に帰ることになりそうですが。いや、まだまだ日本に帰れない。なにかこの国から得ることが出来るようになるまでは。

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劇団一跡二跳

e-mail: isseki@m5.gyao.ne.jp / 制作:岸本 匡史